
2050年のカーボンニュートラル実現に向け、エネルギーや物流、原材料の見直しに取り組む企業様が増えています。高速オフセットにおいても、2025年度の環境対応印刷における新規お問合せ数は850件以上と、年々関心が高まっています。
環境対応印刷の施策としては、これまで
・用紙を古紙やアップサイクル紙に変更する
・用紙をFSC®認証紙に変更する
・植物性油を使用した印刷インキを採用する
といった取り組みが一般的でした。
近年、より多くの企業にとって重要性が高まっているのが「Scope3の削減」です。Scope1・2は自社の努力でどうにかすることはできるものの、Scope3に関してはサプライチェーンの協力がないと削減できません。
印刷物は、選び方次第でScope3削減・カーボンニュートラルに取り組むことができます。
例えば、用紙製造時のCO2を削減する「ゼロCO2ペーパー」と、印刷工程で不可避に発生するCO2を相殺する「カーボンオフセット印刷」を組み合わせることで、印刷物を“実質カーボンニュートラル”に近づけることができます。
本コラムでは、「ゼロCO2ペーパー」と「カーボンオフセット印刷」について、総合印刷会社の高速オフセットが、印刷の専門知識がないサステナブル推進担当者様にもわかりやすく解説します。
目次
そもそも印刷物はどこでCO2が出るのか?
印刷物のCO2排出のポイントは大きく3つに分かれます
1.用紙製造段階
2.印刷・加工・輸送の段階
3.印刷物使用後

今回は上記の図の①印刷用紙に関わる製造 と、②印刷物製造過程でどうしても出るCO2排出量を、それぞれ削減できるソリューションをピックアップして紹介します。
①印刷用紙のカーボンオフセット化【ゼロCO2ペーパー】
印刷物のCO2削減を考えるうえで、最初に注目したいのは「用紙の製造時のCO2量」です。実は、印刷物に関わるCO2排出量全体の中でも、紙をつくる工程が占める割合は大きいとされています。
だからこそ、用紙製造時のCO2量が少ない・削減できる用紙を選ぶことが重要となってきます。
-ゼロCO2ペーパーとは?
今回ご紹介したい用紙「ゼロCO2ペーパー」とは、用紙製造時に排出したCO2量をJ-クレジットの仕組みを使ってオフセットしています。そのため、用紙製造時のCO2排出量を実質ゼロにすることができる用紙です。

▲ゼロCO2ペーパーのロゴマーク
ゼロCO2ペーパーには、コート紙/マット紙/上質紙と一般的な用紙のラインナップがあります。すでに、これらの銘柄の用紙で印刷物を作られている方でも、用紙の質感を変えることなく印刷物をつくることができます。さらに、FSC®認証にも対応しているのでFSC®認証ラベルの掲載ができるのもポイントです◎(※コート紙/マット紙のみ)。

-GHG吸収量を数値化・見える化
ゼロCO2ペーパーは、高速オフセットのような印刷会社へ用紙を入庫した段階で、すでに製造時にかかったCO2量はオフセットされた状態で搬入されてきます。(用紙メーカーから印刷会社への納品輸送GHG量は含まず)
さらに、どれだけのCO2量をオフセットすることができているのか?を知るために、「GHG吸収量」を数値化してご提供が可能です。

▲用紙メーカーである株式会社ペーパル様より証明書を発行します。
-J-クレジットの活用先は?
ゼロCO2ペーパーのJ-クレジットは、奈良県天川村の森林保護の取り組みへ活用されています。
用紙製造会社である株式会社ペーパル様の本社が奈良県にあり、地域貢献のために天川村のクレジットが選ばれています。
日本の林業は、深刻な人手不足や、木材価格の低迷など多くの課題を抱えています。ゼロCO2ペーパーを使った印刷物を作ることで、社会課題の解決の糸口にも繋げていくことができると考えられます。
②印刷物製造時のカーボンオフセット化【水なしカーボンオフセット印刷】
印刷物を製造する際、CO2はどうしても排出されてしまいます。だからこそ、Scope3の観点では、カーボンオフセットの印刷サービスに対応している印刷会社を選びましょう。印刷時のCO2排出量を算出しオフセットすることで実質ゼロにできます。
高速オフセットでは、水なし印刷機を活用したカーボンオフセット印刷サービスを採用しています。
-水なし印刷機とは?
一般的に1,000部以上の中~大ロットの印刷物を作るときはオフセット印刷機を使います。オフセット印刷機は「水あり印刷」と「水なし印刷」に分かれます。
水なし印刷機とは、水あり印刷機と違って、印刷に必要な版の素材を変更することで「廃液を出さずに印刷」することができます。この点から、水なし印刷機は、環境対応印刷機と呼ばれてきました。
-水なし印刷機でカーボンオフセット印刷
高速オフセットの水なし印刷機では、印刷時に発生したCO2量をオフセットできる「カーボンオフセット印刷」に対応しています。

印刷物のライフサイクル(原材料の採取から製造、仕様及び破棄・リサイクルに至るすべての過程のこと)において、印刷物にかかわるすべてのCO2排出量を算定します。
算定方法は、LCA(ライフ・サイクル・アセスメント)のデータを元に算定。
算定したCO2量を、J-クレジットで相殺し、印刷物のCO2排出量を実質ゼロにします。
高速オフセットは、カーボンオフセット印刷を主体として運営する、一般社団法人WPA(水なし印刷協会)の会員企業として印刷物のご提供が可能です。
-GHG排出量の数値化
水なしカーボンオフセット印刷を採用いただくと、数値化することだけでなく、印刷物にGHG排出量のオフセット量を数値化して掲載できます。

▲上記のロゴマークを印刷物に掲載可能(※数字は印刷物に合わせて変更されます)
ロゴマーク以外に、証明書を発行してご提出することも可能です。
カーボンオフセットをしたという事実だけでなく、しっかり数値として残しておくことが、Scope3削減を示す説得材料になってくるのではないでしょうか。
ゼロCO2ペーパー×水なしカーボンオフセット印刷でできること
ここまで、「ゼロCO2ペーパー」で用紙製造時のCO2量と、「水なしカーボンオフセット印刷」によって印刷工程で発生するCO2量をカーボンオフセットする方法をご紹介してきました。
以下にそれぞれのメリット・デメリットを記載しました。
※比較対象:カーボンオフセット印刷に対応していない印刷物の場合とする。
【現在の印刷物をゼロCO2ペーパーに変更のみ】
メリット
〇導入が非常にシンプル(デザイン・印刷仕様をほぼ変えずに「紙を替えるだけ」)
〇コストを大きく上げることなく変更できる可能性が高い
デメリット
△印刷工程で発生するCO2量はオフセットできていない
△「印刷物全体としてカーボンニュートラル化」とは言えない
→カーボンオフセットへの「まず一歩」を歩みたい企業様へおすすめです。
【現在の印刷物をカーボンオフセット印刷に変更のみ】
メリット
〇印刷物全体としてカーボンニュートラル化することができる
〇既存用紙を変えずに導入が可能(紙質を変更したくない方へも対応可能)
〇カーボンオフセット量を数値化できる
デメリット
△「用紙&印刷方法」変更点が多いので、社内決算がとりづらい可能性がある
△CO2排出量に応じて、オフセットするためのクレジット購入費が必要になる
→「ゼロCO2ペーパー」でない用紙を使用してカーボンオフセット印刷に取り組みたい企業様へおすすめです。
【ゼロCO2ペーパー×カーボンオフセット印刷へ変更】
メリット
〇印刷物全体としてカーボンニュートラル化することができる
〇用紙製造時/印刷過程それぞれのCO2排出量を明確に数値化できる。証明書も発行できる。
デメリット
△「用紙&印刷方法」変更点が多いので、社内決算がとりづらい可能性がある
△CO2排出量に応じて、オフセットするためのクレジット購入費が必要になる
どんな印刷物に活用できる?
ゼロCO2ペーパーやカーボンオフセット印刷を使ったおすすめの印刷物をご紹介します。
・統合報告書/サステナビリティレポート
自社の環境・社会への取り組みを発信する代表的な印刷物です。ゼロCO2ペーパーとカーボンオフセット印刷を活用することで、内容と印刷仕様に一貫性を持たせた印刷物に仕上がります!
・会社案内/IR資料/株主向け冊子
投資家、金融機関、取引先が目にする重要資料の印刷物です。ESG経営の根拠の一つにもなってくるのではないでしょうか。
・採用パンフレット
若年層・Z世代は企業の環境姿勢への関心が高いと言われています。「印刷物」という細かな点にも環境配慮をしていることの社風をアピールするきっかけにもなります。
・商品カタログ/サービス資料/営業ツール
営業を通じて、大量に配布されることが多くScope3への影響も大きい印刷物です。取引先への自社のサステナビリティへの取り組みを印刷物が営業してくれます。
・社内報
社内向けの印刷物もScope3には含まれます。社外へ対策だけでなく、まずは社員に自社の環境方針を伝えることで、自社の環境配慮を「自分事化」してもらうきっかけ作りに繋がります。
まとめ|印刷物も“選び方”でカーボンニュートラル化できる
最後に、「印刷物の環境対応はよくわからないので、ついつい対策が後回しになってしまいます。」というサステナブル推進課の方のご意見もお聞きすることがあります。
しかし、印刷物は「人から人」へ直接手に渡り、形に残る品物です。
印刷物に、カーボンオフセットのロゴマークや、カーボンニュートラルへの取り組み意思の一文が入るだけで、受け取った方が持つ企業への印象は大きく左右されると考えられます。
高速オフセットでは、環境対応印刷の知識を豊富に取り揃えております。
・印刷物を環境対応印刷にしたい
・今の仕様から何を見直せば環境対応印刷になるのか知りたい
などご相談ベースで構いませんので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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