高速オフセットがOne Planet Paper®(以下、バナナペーパー)を取り扱ってから5年が経ちました。
これまでたくさんの企業様にバナナペーパーを使っていただいたのですが、
・バナナペーパーを使うことが、ザンビアで暮らす人々や私たちが暮らす地球未来の為に繋がっているのか
・たくさんの企業様にバナナペーパーの事業を共感&賛同いただいたことで、もととなる茎繊維を作っているザンビアにはどういった変化が生み出されているのか?
・バナナの茎繊維を作っている人たちは、何を思ってこの仕事を日々行っているのか?
ということを知る。
そして、バナナペーパーを取り扱う企業としてきちんとした発信活動をしたいと感じ、この度株式会社ワンプラネット・カフェ様主催の「ザンビア視察ツアー」へ、この記事を書いている私が参加してきました!
野生の動物と共に在る暮らし。そこで生まれる密猟問題。
日本に住んでいる私たちには想定しきれない生活はもちろん、「仕事がある」ことで生まれた感情ややりがいなど、遠く離れた地に私たちがどう貢献しているのか?を目の当たりにすることができました。
今回は、そんなザンビア視察のレポート第一弾!
バナナペーパー工場の様子やバナナペーパーがどのように私たちの手に届くかの商流、そして、バナナペーパー事業によって生まれたチーム員の皆さまの生活の変化などを、具体的な声と共にお伝えさせていただきます!
★ザンビア・バナナペーパー工場で働く人々の声や、バナナペーパーを取り入れたことによる変化を1冊の冊子に仕上げました。無料で郵送していますので、ぜひお気軽にお申し込みください。
バナナの茎繊維を作っているザンビアってどうやっていくの?どんなところ?
ザンビア共和国(通称ザンビア)はアフリカ大陸南部に位置する国です。
バナナペーパー工場があるのはエンフエという村。
日本からドバイを経由し、まずはザンビア首都のルサカへ。その後、エンフエ村までは国内線で向かいます。
こちらが、エンフエ村に向かう国内線。
なんと、20名ほどしか乗ることができない小さな飛行機!実はけっこう揺れたんです。
村に到着すると…まるでテレビで見た、ウルルン滞在記のような世界!
これぞ、アフリカって感じがしますよね。
ちなみにエンフエ村は、世界初のサステナブル国立公園である「サウス・ルアングア国立公園」があります。海外からの観光客も比較的訪れる村なんですよ!
村には、人間と野生生物が共存して暮らすエリアと、人間が暮らせない野生生物だけが暮らすエリアに分かれているのだそう。
本当に、人間が動物たちと隣り合わせに暮らしているんです!
ついにバナナペーパー工場へ到着!
さっそく、バナナペーパー工場の視察に向かいました。
工場へ到着すると、工場で働くチーム員(従業員)の皆さんが出迎えてくれました。
チーム員は、2024年3月現在では25名。
みなさん笑顔が本当にすてき!
工場のメンバーはブルーの服を着用しています。
これは、バナナペーパー工場の正式名称である「One Planet Café」の文字がプリントされた制服!文字プリントもザンビア現地で行ったものだそう。
この制服を着ているとなんだか誇り高く村を歩けるのだとか。
バナナペーパー工場の全体像は、おおよそこのような見取り図になっております。
チーム員の皆さんが出迎えてくれた場所は「①多目的ルーム」の前のスペースです。
工場内の「②果物農園」ではレモンやグァバを育てていたり、バナナ農園もあります。
フルーツは栄養が豊富なので、チーム員の皆さんはいつでも取って食べても良い決まりになっています。チーム員皆さんの健康維持も、しっかりと考えられた工場になっているんです。
続いてオフィスへ。ホワイトボードに毎日のチェック事項が記載されています。
「UMOYO NO.1」という言葉がありますが、なんだかわかりますか?
これは現地の言葉で「健康第一」という意味なんですって!
全員が工場で食事をとること、石鹸を使うこと、工場を綺麗に使うことなど、健康第一を考えた決まりがあるんです。チーム員の中のリーダーによってしっかりと管理されています。きちんとした会社ということがわかりますね。
さらに工場内には、時計があるんです。これは、バナナペーパー事業はフェアトレードだから、労働時間をオーバーしないように取り付けられているんですって。
フェアトレード認証を取ることはとても厳しい決まりが多くあることを知りましたし、それがクリアできているバナナペーパーは透明性の高い事業だということも強く感じました。
バナナペーパーが私たちの手元に届くまでの流れ
ではここからは、バナナペーパーのお仕事内容について具体的に見ていきましょう。
工程1:バナナ農家からバナナ茎を回収
まずは、バナナ農家からバナナの茎を回収し、工場へ運びます。
バナナペーパーは日本唯一のフェアトレード認証紙。もちろん、バナナ農家さんともフェアトレードでお取引をしています。
ここがバナナの茎部分です。
この茎から、下の写真のような糸状の繊維がバナナペーパーの材料になります。
現地に行って驚いたことが1つあります!
それは、ザンビアのバナナってすごくちっちゃいんです!
これがそのバナナです
日本で売っているバナナの半分ほどの大きさで手のひらサイズでした!
完全オーガニックで育てられたバナナで、とても甘くておいしかったですよ。
工程2:茎を機械にかけて繊維状に
回収した茎を機械にかけて繊維状にします。
この機械にかける仕事の役割は「パイロット」と呼ばれているんですよ。
チーム員の皆さんには、リーダー、パイロット、コック、ガーデナー、ドライバーなど一人ひとりに役割が任命されています。
任命されることによって従業員の皆さんが責任をもって仕事が行えるように。という思いからだそう。
機械に通すとこのような形になります。一気に繊維感が増しますよね。
この茎を繊維状にする作業は、かつては手作業で行っていましたが、機械を導入し、生産性はぐーんっと、上がったのだそう。
私たちがバナナペーパーの需要を増やすことでまだまだたくさんのザンビアで暮らす人々の雇用を創出できる未来があるのだと感じました。
工程3:茎繊維を乾燥させる
先ほど繊維状にした茎を乾燥させます。
ザンビアツアーに行った3月は雨も少なく気候も比較的暖かかったので、2~3日で乾くのだそう。
茎を乾かす作業の際に、もう一つ大事な仕事があります。
それは、茎に出来る斑点を1つひとつ丁寧に取り除く作業。
斑点が残ったまま茎が出荷されると、用紙にしたときにも黒い斑点が残ってしまうんです。バナナペーパーの高品質さは、チーム員の皆さんの丁寧な手作業によって守られているんだなと感じました。
以上、ここまでが日本に届くバナナペーパーのザンビアでのお仕事になります。
バナナの茎はこのあと、エンフエ村からトラックで出荷され、首都ルサカ→モザンビークまで運び、モザンビークから船便で日本へ届きます。
その後は、茎をパルプ化し越前の和紙工場でFSC®認証パルプと混ざり、バナナペーパーとなります。
★バナナペーパーで作れる商品コラムは以下よりご覧ください
バナナペーパー事業で生まれた声、ザンビアチーム員への貢献
バナナペーパー工場では、始めにお伝えした通り25名の方が働いています。
今回のツアーではチーム員のみなさんとの交流の時間もあり、率直な質問をしてみたところ…バナナペーパー工場で働くことによって、チームのみなさんの中でたくさんの変化が生まれたことが分かりました。
本当に、どれも素敵なメッセージばかり。バナナペーパーの取り組みを企業の皆さんと一緒にできたことで、遠く離れた人々の変化に繋がっているんだなと実感しました。
ここではイチオシのメッセージをいくつか紹介します!
Q.バナナペーパーの仕事についてどのように感じていますか?
・本当に誇りに思っています。たくさんのことをバナナペーパーの仕事を通して学ぶことができました。とても楽しんで仕事できています。
・みんなの会社だからみんなで良くしていきたいと思います。
・何か課題があったときは、協力して一緒に問題を解決するようにしています。チーム員同士で助け合い大切にしています。
チーム員の皆さんは、4~6年の小学校レベルの学校しか通えていない方がほとんどだそう。バナナペーパー工場で働くことで、学校では学べなかったことが仕事を通して学べているということが分かります。
日本にいる私たちは、小学校から義務教育で学校に通い、そして社会人になって働くことが、何となく「当たり前」になっているのかもしれません。でも、仕事すらなかった環境において職場ができるということは、現地にとっては大きな変化なのだと感じました。生き生きと働き、賃金を得るチーム員の姿を見て、「バナナペーパー工場で働きたい」という人たちも多くいるのですが、バナナペーパーの需要の関係などで雇用を増やすことがなかなか難しいのも現状です。
仕事に誇りを持ち、やりがいを持って働ける――バナナペーパーという1枚の紙が、人の生き方にも変化をもたらしているということが分かりました。
Q.バナナペーパーの仕事に就いてから家族への変化はありましたか?
・子どもの学校で必要な材料を揃えられるようになりました。
・働いたお金を貯めて、自分の奥さんが看護師の学校へ通えるようになりました!
・子どもを大学まで通わすことができました!
チーム員みなさん、家族の為にお金をしっかりと貯めて使っているということがわかります。私たちがバナナペーパーを使うことで、教育資金や生活費に繋がっているということが実感できた瞬間でした!
Q. 5年後10年後どうなっていきたいですか?
もっともっと会社を発展させたい。そして、日本へ行って日本の技術を学んでザンビアへ持って帰ってきたい。
日本の商品をザンビアの皆さんに見せると、すごく興味を持って見てくれるんです。ザンビアから出荷される時は茎状だったものが、用紙になって形を変えて色がのっている。それを見て、日本の技術はおもしろい!と思ってくれているのかもしれません。
一人ひとりが発信することで、バナナペーパーのサステナブルを広げていきます
バナナペーパー現地視察レポート~工場編~いかがでしたでしょうか?
今回は日本に送られてくるバナナの茎繊維の工程を中心にお伝えしました。が、工場ではザンビア現地でしか販売していないバナナペーパーを製造するお仕事もあるんです。その紹介は次回のコラムにてご紹介させていただきます。
「バナナ農家の方」「ザンビアチーム員の方」そして「その家族」など携わる方の声を聞くと、「バナナの茎繊維が配合された紙」という「仕組み」の部分だけでないものが見えてくるのではないでしょうか。バナナペーパーをお使いいただいている企業の皆様に、ザンビアチーム員の「思い」の部分が、少しでも伝われば嬉しいです。
現地に行くことで、バナナペーパーに携わる人々の思いや丁寧な手仕事に触れ、改めてこの紙は「自信を持ってお客様にご提供できる」と確信しました。今後も、バナナペーパーが生まれたストーリーや人々の想いに共感いただいたお客様と一緒に、様々な印刷物を作っていきたいと思います。そして、その製品作りを通して、人や環境、世界に変化をもたらすことができればいいなと思います。
私たちは、引き続きバナナペーパーの魅力をはじめ、紙を通して様々なサステナブル製品を研究していきます。ぜひ、何かございましたらお気軽にお問い合わせください。
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