高速オフセットが提供する、海外配送用の伝票作成システム「ハコボウヤ」。2021年の4月にリリース以来、ご利用いただく企業様が増えています。
ハコボウヤをリリースした当初はコロナ禍の真っ只中でしたが、2023年10月現在はたくさんの外国人観光客が日本に訪れ、ハコボウヤの利用回数も上がってきています。
今回は、ハコボウヤをご利用いただいている「神戸酒心館」様に、ハコボウヤの利便性や改善点、さらには外国人観光客が来店する様子などをお伺いしてきました。
▲神戸酒心館様の店舗に直接訪問。ハコボウヤが使われるシーンなどをお伺いすることができた。
PROFILE
神戸酒心館
藤井大樹 様(以下敬称略)
Question. ハコボウヤ導入後のメリットは?改善点は?
顧客単価UPに繋がる「店頭配送サービス」の存在
神戸市の東灘区は酒蔵のまちとして古くから有名です。西郷、御影郷、魚崎郷、西宮郷、今津郷の5つの地域を灘五郷と呼び、日本の「日本酒生産量」が最も多い地域でもあります。
御影郷に位置する神戸酒心館は、江戸中期の宝暦元年(1751年)創業の酒蔵。地元である兵庫県産の米と名水百選の「宮水」を用い、今もなお手造りによる酒造りが行われています。
現在は、お店にたくさんの外国人観光客が訪れ、お土産用やホテルに帰って飲むための日本酒を購入していくのだそう。店内に入ると、英語で外国人観光客にテイスティングの案内をするスタッフの姿が見えました。
▲店内にて外国人観光客を接客する様子。積極的に日本酒の試飲を提案し、「日本酒を飲んだことがない」という方にもトライしてもらいやすい環境を作っている。
―― ハコボウヤのサービスをご利用いただき、ありがとうございます。ハコボウヤを導入する前とした後では、どういった点に変化がありましたか?
藤井:海外に送れるサービスが店頭にあると、中にはたくさん買ってくれる旅行客の方もいらっしゃいますので、1人あたりの購入単価UPに繋がっていると感じています。
藤井:送料が少し高い国の方の場合、購入するのを断念するか、悩まれることがあります。そのような場合は、「送料がたとえかかっても、自国で買うより日本で購入した方が安く購入できる」と伝えるようにしています。
―― 管理画面に関して使いやすい部分や、逆に改善してほしい点はありますか?
藤井:商品登録も簡単にできて、今の所は特に問題ないと感じています。
当店では商品登録を一つずつ行っていますが、商品の点数が限られていることから、そこまで登録の負担を感じていません。
藤井:1点気になる点といえば、JANコードの読み取り能力の精度が高すぎて、隣接するJANコードも読んでしまうところですね。オリジナルの「窓あき枠」を作り、読み取りたいJANコードだけをスキャンできるよう、アナログで工夫してみました。
▲「JANコード窓あき枠」を作り、隣接するコードを読み込まないように対応。「スキャンの反応が早すぎる」という意見は次回アップデートで修正予定。
―― 同様のご意見がありましたので、新しいバージョンのアプリでは読み取った後に確認画面へ進むよう対応しました。貴重なご意見ありがとうございます。
―― 店頭でハコボウヤをご案内する際は、お客様から希望があるのでしょうか?それともお店側からご提案するのでしょうか。
藤井:基本的には、旅行客から「自分の国に送れますか?」と聞かれて案内することが多いです。日本酒に関しては、EMSで送れる国/送れない国と分かれるため、リストを見ながら確実に送れる国の方から案内するようにしています。
▲国際郵便は配送できるもの・できないものが国によって異なる。特にアルコール類は国によって制限の基準が異なる。国ごとに〇、△、×を示したリストを元に、お客様に配送可能かどうかをご案内する。
―― 日本酒はアルコールという分類上、海外へ送れる国とそうでない国とでかなり分かれるんですね。
藤井:ちょうどこの前、海外の方で日本酒を購入してもらい、ハコボウヤで配送処理をしました。実は、リストではその国への配送が△になっていたので、送れるか微妙なところでして…。
藤井:「ちゃんと届くかわからない」という点を伝え、了承を得てから発送をしました。昨日配送したばかりでまだ届いたかわからないですが、郵便局では受け取ってはくれている状態です。
藤井:ほかにも、送れない国の方がいらっしゃったときに、アプリ上で「NG」という表記が出ました。その際は、配送をお断りしました。また、遅れる場合でも、リスクを減らすために「翌日に配送しているが、1週間2週間程度の配送時間がかかる」ということは伝えるようにしています。
▲ハコボウヤのアプリ画面。商品のバーコードをスキャンした際に、禁制品に当たる場合はメッセージが出る仕組みとなっている。
―― 配送前に、海外配送の注意事項をお客様へ伝えているんですね。他に、海外配送の際に気を付けていることはありますか?
藤井:日本国内への配送時と比べて特に大きな違いはないですが、瓶が割れないように強度を強くして配送しています。
▲ハコボウヤの案内ポスター。英語・中国語・ハングル語で使い方や注意点を説明している。
―― 当社のサービスを使っていただき、ありがとうございます!
Question. インバウンド客に評価されるポイントは?
積極的な試飲体験の案内が、商品購入に繋がるきっかけに
▲神戸酒心館を代表する銘柄「福寿」。数々の賞を受賞し、世界レベルのソムリエからも高い評価を獲得。
―― 神戸酒心館の「福寿」は、世界的なコンクール「IWC2019」で金賞を受賞されたこともあり、海外の方に特に人気と聞いています。お店に来られる外国人観光客の反応はいかがでしょうか?
藤井:2023年現在、団体客ツアーの方と、個人のツアーで来られる方がいます。
印象としては、みなさん事前にGoogleの口コミを見ているのかなと思います。ありがたいことに「英語対応が可能」「多言語ができるスタッフがいる」と書いてもらえているので、そういった口コミを見てこられているのだと思います。
―― 「店頭で英語ができるかできないか」という点が、集客にも影響しているんですね。Googleの口コミを見ているかどうかというのは、どうして分かったのでしょうか。
藤井:当店では「日本酒のテイスティングができるのですが、そのあとに「オンラインでのアンケート回答をお願いしています。どこに宿泊しているか、なぜ神戸酒心館を知ったのかなどを収集しています。
▲アンケートをPOPで案内し、Googleの口コミ獲得につなげている。また、「本日対応可能な言語」「タクシーの案内」なども英語にて表記し、ユーザー体験の評価向上に貢献。
―― なるほど、お酒のテイスティングと引き換えにアンケートを取ることで、更なる施策に取り組んでいるんですね。特に外国人観光客に人気のある商品を教えていただけますか?
藤井:人気のお酒は、「福寿KOBEメモリーズセット」。300ml のミニボトルが3つ入っています。あとは生酒も人気。お土産として購入するのは難しくても、その日の内にホテルで飲む人が購入してくれます。あとは、蔵元限定のお酒やノーベル賞で提供しているお酒、海外のコンクールでの受賞酒にも興味をいただいております。
▲人気の「福寿KOBEメモリーズセット(300ml×3本/2,980円)」。神戸の名所が描かれたパッケージはお土産に人気。
―― 意外です!持ち帰ることが難しい生酒もよく売れるんですね。
藤井:テイスティングして気に入ってくださった方が購入してくれますね。その場でタンクから瓶に入れるので、「現地でしか飲めない」レア感もあるのだと思います。
▲タンクから注ぐ生酒。その場でテイスティングし、気に入って買う方が多い。「ホテルに帰ってから飲む」という外国人観光客も。
藤井:来店される方は富裕層が多いのですが、「お土産を購入したいから来ている」というよりも、試飲して自身が気に入ったお酒を選んで購入されることが多いと感じています。そういった意味では、「必ずこの商品が人気!」という定番モノはないかもしれません。
―― お店に入って感じたのですが、積極的にテイスティングの声掛けをされていますね。
藤井:そうですね、積極的に声掛けを行うようにしています。国籍によっては機内持ち込みで1本しか日本酒を持ち帰れないため、「気に入ったものを探し当てたい」「おいしかったものを厳選して持ち帰りたい」という想いもあるのかもしれません。気に入ったものを見つけてもらうためにも、積極的にご案内しています。
藤井:当店に来られるお客様は「日本酒を飲んだことがない」という方も多いので、基礎知識から丁寧に説明する必要があると感じています。
▲英語の説明シート。日本酒の製造や種類の違いなど、基礎知識から説明。
―― スタッフのみなさん、外国語が堪能だなと感じているのですが、何言語くらいできるのでしょうか。
藤井:当店には外国人スタッフもいて、中には1人で何言語も対応できるスタッフがいます。例えばスペイン人スタッフであれば、英語と日本語に加えてスペイン語、ドイツ語。イタリア人スタッフは、日本語と英語のほかにイタリア語、フランス語が話せます。
―― クワドリンガル!すごいですね。
藤井:実は、神戸市の日本語ビジネス学校に通っている方にお声がけして募集しています。多言語対応しているという点は、お店への集客にとても繋がっていると感じていますね。来店される外国人観光客の方からも「色んな言語で対応してくれて嬉しかった」と口コミをいただいています。
▲お店に入ってすぐの場所に撮影ブースを設置。はっぴを着て記念撮影ができ、インスタグラムへのハッシュタグ投稿へ誘導している。
Question. 「エシカルな取り組み」って、どんなことをしているの?
日本の酒造メーカー初「ウォーター・マネジメント アワード」を受賞
神戸酒心館では、まだ他の酒蔵が取り組んでいないことにも積極的にチャレンジしています。その1つが「エシカルな取り組み」。
SDGsに力を入れている高速オフセットとしては、とっても気になる点。酒蔵として、どういう取り組みをされているのかをお伺いしました。
―― エシカルというのは、具体的にどのような取り組みをされているのでしょうか。
藤井:例えば、日本酒の瓶はリサイクル素材を使っています 。また、節水の取り組みを積極的に行っています。2010年からの7年間で日本酒の生産量は3倍に増えましたが、水使用量の増加は35%に抑えることができました 。
藤井:地域への取り組みも積極的に行っています。地元・兵庫県の米農家とも協力し、農家の後継ぎ問題への取り組みを行っています。
―― 製造面での環境配慮や、地域への活性化にも着手されているんですね。
藤井:エシカルな取り組みは、周りの酒蔵さんはまだ取り組まれていない点だと思うので、積極的に取り組んでいますね。
藤井:日本酒に使用するお米は地元産の「山田錦」を使うことが多いですし、他にも「コウノトリ育むお米(売り上げの一部が兵庫県豊岡市のコウノトリ基金に寄付され、コウノトリの野生復帰事業の支援に繋がる)」というお米も使っています。
▲神戸酒心館で使用しているお米。地域貢献にも力をいれ、地元産の「山田錦」を使用している。
藤井:店内のパネルでも、エシカルの取り組みを紹介しています。これらの活動が評価され、2020年にイギリスで行われたグリーンアワードで、当店は世界トップ3に入る「エシカルカンパニー」に選ばれました。日本の酒造メーカーでは初めての受賞です。
▲店内に飾られているパネル。酒蔵におけるエシカルな取り組みが紹介されている。
―― 日本酒の業界でも、エシカルへの取り組みが注目されつつあるんですね。実際に取り組むだけではなく、店内での発信方法もとても参考になりました。
本日は貴重なお話、ありがとうございました!
神戸酒心館様に導入いただいているサービス「ハコボウヤ」の紹介サイトはこちら
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